公開日:2026年5月24日
この記事でわかること(結論を先に)
- 1社専任依頼は囲い込みと両手取りの温床であり、売主には選択肢が狭まるデメリットしかない
- 不動産業者と売主の間には構造的な利益相反が存在する——これを知っているかどうかで結果が数百万円変わる
- 売り出し価格は相場より高く設定するのが正しい。急ぐなら後で下げればいい
- 私は実際にこの戦略で相場より300万円高く売却した。それでもまだ上があった可能性がある
- 媒介契約は一般媒介一択。専任・専属専任は業者にとって都合が良いだけだ
1. 課題:不動産業者と売主の「利益相反」という不都合な真実
不動産業者の目的は「売主の利益最大化」ではない
まずここを正確に理解する必要がある。
不動産業者の収益源は仲介手数料だ。法定上限は売却価格の3%+6万円(税別)。3,000万円で売れれば96万円、3,200万円で売れれば102万円——200万円高く売っても業者の取り分の差はたった6万円だ。
一方で、3,000万円の相場価格で素早く売れれば、業者はすぐ次の案件に移れる。高値売却を追求して時間をかけることは、業者にとってROIが低い。つまり業者のインセンティブは「できるだけ高く売ること」ではなく、「できるだけ早く、相場価格で売ること」に向いている。
業者には「高値で売りたくない」理由まである
同じエリアで1件が相場を大幅に上回る価格で成約すると、その価格が周辺相場の参照点として機能し始める。周辺物件の売り出し価格が上昇し、買い手がつきにくくなる——つまりエリア全体の不動産流動性が低下する。地域密着型の業者ほど、この影響をダイレクトに受ける。
業者には「安く売れても困らない、むしろ高値成約は迷惑」という構造的なインセンティブが存在する。これは業者の悪意ではなく、ビジネスモデルから必然的に生まれる利益相反だ。
専任媒介が「囲い込み」を生む仕組み
専任・専属専任媒介を結ぶと、業者は「両手仲介」——売主・買主の双方から仲介手数料を取ること——を狙いやすくなる。他社からの買主紹介を意図的にブロックし、自社で買主も見つければ手数料が2倍になるからだ。
これは業者にとってのメリットでしかない。売主にとっては買い手の母数が絞られ、競争が消え、価格が上がらないというデメリットしかない。
高すぎる査定額を提示して専任媒介契約を取り、その後値下げを迫るという手法をとる業者は、囲い込みを行い両手仲介にすることが多く、売却までに時間がかかり相場より安い価格での売買契約になる可能性が上がる。
「1社に任せる」という一見シンプルな選択が、業者に囲い込みのインセンティブを与え、自分の交渉力をゼロにする行為になる。
2. 解決策:私が実践した「一括査定×一般媒介×高値設定」の3点セット
ステップ①:一括査定で「相場」を自分で把握する
売却において最初にすべきことは、業者に相場を教えてもらうことではない。自分で相場を把握した上で、業者の査定を評価することだ。順番が逆になると、業者の提示額を基準にしてしまい、交渉の主導権を最初から手放すことになる。
相場の把握には以下を使う。
| ツール | 用途 |
|---|---|
| 国土交通省 不動産取引価格情報検索 | 実際の成約価格(公的データ)を確認 |
| SUUMO・HOME’S | 現在の売り出し価格(上限の参考値)を確認 |
| レインズ・マーケットインフォメーション | 成約事例の坪単価を確認 |
相場を掴んだ上で、一括査定サービスに進む。私が使ったのはすまいValueだ。三井のリハウス・東急リバブル・住友不動産・野村の仲介+・三菱地所・小田急不動産という国内トップクラスの大手6社が共同運営しており、ブランド力と実績の両面で信頼できると判断した。
一括査定後は複数社から連絡が来る。私が選んだ基準は「最初に連絡をくれた5社」だ。 レスポンスの速さは、売却活動における積極性の代理指標になる。遅い業者は、その後の動きも遅い。連絡が来た順に5社をリストアップし、面談のアポを入れた。
ステップ②:1日で5社と面談し、当日2社に絞る
一括査定で5社が決まったら、できるだけ同じ日に面談をまとめて入れることを強く勧める。私は実際に1日で5社と面談した。
同じ日に複数社と話すことには明確なメリットがある。各社の対応・話し方・提案内容がフレッシュな状態で比較でき、印象の差がはっきりと浮かび上がる。人は時間が経つと記憶が美化・劣化するが、同日比較ならその歪みが生じない。
そして実感として、「この人(この会社)に任せたいか」は、話してみると割とはっきりわかる。
最初の面談でなんとなく感じる雰囲気——説明の丁寧さ、質問への回答の具体性、こちらの状況をどれだけ聞こうとするか——これが第一印象として機能する。私はこの日の印象で2社に絞った。
ステップ③:商談を進めながら「どちら優先か」を見極める
2社に絞った後は、実際のやり取りの中で最終判断をする。
ここで見るべきは査定額の高低ではなく、**「こちら優先で考えてくれているか、自分たちの利益を優先しているか」**だ。これはやり取りを重ねるうちに、じわじわと滲み出てくる。
こちら優先の業者の特徴として、連絡のレスポンスが早い、質問に対して正直に「わからない」と言える、売却後の手続きまで先回りして説明してくれる、などが挙げられる。一方で自社優先の業者は、専任媒介への誘導が早い、査定額の根拠が曖昧、価格交渉の場面でこちらの希望より成約を急ごうとする、といった傾向が出やすい。
ステップ④:媒介契約は「一般媒介」一択、売り出し価格は相場より高く
媒介契約は一般媒介一択だ。複数社に同時依頼できる一般媒介であれば、各社に「自社経由で成約させなければ手数料はゼロ」というプレッシャーが働き続ける。これが売主にとって最大の武器になる。
売り出し価格は、自分で把握した相場より高い価格で設定することを恐れない。売却期間が短い場合でも同じだ。最初に高く設定しておき、期間内に売れなければ下げればいい。最初から相場で出すと、その後の値下げ交渉の余地がゼロになる。
私は相場より高い価格で売り出し、結果として相場より300万円高い価格で成約した。 成約後の感触として、もう少し強気の設定でも売れた可能性があった。「高すぎて売れなかったらどうするか」という不安は、「安く売って後悔するリスク」より小さい。不動産は値下げはできるが、値上げはできない。
3. ベネフィット:売却益の最大化が次の資産構築を加速する
300万円の差が「次の一手」を変える
今回の売却で得た300万円の上乗せは、単なる「得した金額」ではない。
注文住宅の建築資金として考えれば、300万円は設備グレードの差、外構工事の充実、住宅ローンの頭金の厚みに直結する。金融機関からの融資審査においても、自己資金が多いほど金利条件が有利になるケースがある。売却時の数百万円の差は、次の資産構築において複利的に影響を広げていく。
情報武装した売主だけが、価格交渉の主導権を持てる
一般媒介で複数社に依頼していると伝えるだけで、業者側の姿勢が変わる。囲い込みができない状況では、各社が本気で買主を探す以外に手数料を得る方法がないからだ。
医師が診断において複数の検査値を参照するように、不動産売却においても**「複数の査定値と複数の業者」という競争環境を意図的に作ること**が、正確かつ有利な売却の前提になる。
4. 結論:5分の一括査定が、数百万円の差を生む
不動産売却において、業者は敵ではない。しかし利益の方向が売主と完全に一致しているわけでもない。この事実を理解した上で、適切な構造を作ることが売主の仕事だ。
やるべきことは明確だ。
- 公的データで相場を自分で把握する
- すまいValueで一括査定し、最初に連絡をくれた5社を選ぶ
- 同日に5社と面談し、印象で2社に絞る
- 一般媒介で契約し、相場より高い価格で売り出す
このプロセスの起点は、すまいValueへの入力5〜10分だ。その5分が、数百万円の差を生む可能性がある。
まとめ:この戦略を今すぐ使うべき人
| 条件 | 該当 |
|---|---|
| 医局人事・ライフステージ変化で売却を検討している | ✅ |
| 査定を1社だけに依頼しようとしていた | ✅ |
| 専任媒介を勧められているが迷っている | ✅ |
| 売り出し価格を業者任せにするつもりだった | ✅ |
| 売却益を次の注文住宅・資産形成に最大限活かしたい | ✅ |
自分の資産を正当に評価させるための第一歩は、今日の5分で踏み出せる。
※本記事は個人の売却経験に基づく情報提供を目的としており、不動産取引の結果を保証するものではありません。売却判断はご自身の状況を踏まえ、専門家にもご相談ください。


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